「わらび粉(こ)小屋」
水車を利用した粉ひき小屋です。
わらび粉とは、蕨(ワラビ)の根から採取できるデンプンです。現在の高山市朝日町、高根町、そして飛驒市神岡町の山之村地域で生産されました。いずれも山深い寒村です。飛驒の里にあるわらび粉小屋は、旧高根村大字中洞から移築したものです。わらび粉の採集、製造時には山中にあるこの小屋に住み込んで作業しました。高根町は乗鞍岳と御岳の山裾に接する山深い高地で、海抜1,000メートルを超える高原には良質の蕨が大量に自生しています。
蕨の根から取れる澱粉は、高冷地で米や麦の収穫の少ないこの地方の人々にとって、焼き畑から取れる「そば」と共に、貴重な食料の一つとなっていました。また、傘張りの糊などに用いたため、日々の生活を支える重要な換金作物でもありました。
秋、蕨の茎が枯れるころ、その根を掘り出して水に浸して柔らかくし、谷川の水を利用した水車の力を借りて砕きます。砕いた根を、大きな木材をくり抜いてつくったフネに入れて底の沈殿物を乾燥して澱粉を集めました。わらび粉小屋では蕨粉の他、米や麦、そば等の穀物の精米や製粉もしていました。 また、ワラビナワと呼ばれるワラビの根の皮をなって縄にしたものも売りました。ワラビナワは水に強い丈夫な縄で、重宝がられました。