第6章 終わりに
以上、飛驒のやきものの歴史をおおまかに俯瞰してきました。金森時代、天領時代、そして明治以降と、それぞれの時代に合わせて、やきもの製造の形態も大きく変化してきたことがわかります。
新しい産業を成り立たせようと、悪条件の地で奮闘した先人たちには頭が下がります。わずかに陶土をどうやって見つけたのか、冬はどうしていたのか、その苦労はいかばかりでしょう。
窯跡に行き、当時焼かれた陶片のカケラを見るたびに、私も陶芸に携わる者として、当時の陶工の心持が伝わってきます。
一方では、旦那衆という財力あるパトロンを得て、渋草焼という全国に誇れるやきものを生み出しました。その歴史は絢爛豪華な高山祭り屋台と全く同様、旦那衆と職工との力の入った仕事であるといえましょう。
現在、高山では渋草焼芳国舎、渋草焼柳造窯、山田焼、それと戦後再び復興された小糸焼が伝統的な窯元として生産を続けています。近年はクラフト作家や若い作家などの活躍も見られ、おのおのの道で精進しています。
以上、「飛驒のやきもの~その歴史」については終わりになります。
なお、このギャラリーを作成するに当たっては、以下の方々にお世話になりました。
「飛驒のやきもの」作成にあたり、お世話になった方々(順不同敬省略)
松山正和、 平川伊代造、 戸田宗四郎、 戸田義之、 山田鳳山、 長倉靖邦、 長倉圭佑、 岩田 崇、小野木三郎、 平田省三、 平瀬市兵衛、 下畑五男、 倉田 弘、 大野政雄、松山純子
「参考文献」
- 飛驒のやきもの
- 長倉三朗(アポロン社)
- 飛驒のやきもの(改訂版)
- 長倉三朗(実業之日本社)
- 土と炎の芸術
- 岐阜県博物館図録(1993年)
- 東洋当時第18号抜刷
- 岡 佳子(平成2年十二月)
- 日本陶磁全集 9 「瀬戸・美濃」
- 中央公論社
- 日本陶磁全集 27 「仁清」
- 中央公論社
- 高山歴史フォーラム資料「金森宗和」
- 高山市教育委員会(財)金森顕彰会(平成12年3月)
- 飛驒路第2号「三福寺焼の窯跡」
- 大野政雄(昭和25年)
- 「万国博覧会と明治の匠」図録
- 飛驒センター(平成14年8月)
- 世界やきもの史
- 長谷部楽爾監修(美術出版社)
- 日本やきもの史
- 矢部良明監修(美術出版社)
- カラー「やきもの」1
- 永竹 威(山渓カラーガイド67)
- 日本やきもの史入門
- 矢部良明(新潮社・とんぼの本)
- 瀬戸もん百聞
- 加藤元男・杉本 誠(矢来書院)
- やきもの風土記
- 毎日新聞中部本社編
- 日本の工芸9「陶磁」
- 淡交社
- 美濃の陶片
- 加納陽治・荒川豊蔵(徳間書店)
- 日本の絵皿
- 料治熊太(光芸出版)
- 日本やきもの集成 3瀬戸・美濃・飛驒
- 平凡社
- カラー「日本のやきもの」 11 瀬戸
- 加藤唐九郎(淡交社)
- 角竹文庫 考古遺物
- 小糸焼陶片(高山市郷土館)
- 角竹文庫 飛驒窯業史資料
- (高山市郷土館)
- 瀬戸市歴史民俗資料館研究紀要4
- 瀬戸市歴史民俗資料館(1985年)