旧前田家の身体測定
- サイズ
- 桁行19.5m 梁間11.8m
- 仕様
- 榑葺き(板葺き)切妻造
- 外観の特徴
- 西面下屋附属、東北面庇附属板葺
奥飛驒北アルプス山麓の集落旧上宝村神坂(かんざか)にあった旧前田家は、明治時代に建てられた町屋風の民家です。軒も高く、飾りの付いた腕木など、意匠も形態も一般の農家とはひと味違う風格をもつ住宅です。昔、村で一二を争う豪農だった前田家の当主が、高山の大工に作らせたものでした。旧前田家は、町屋風に小庇をつけ、それを支える腕木と雲形の持送りには白く胡粉を塗っており、意匠を凝らしています。また、角柄窓(つのがらまど)とよばれる小窓が壁面に点々と設けられているのも、当時の農家には珍しく洒落た感じがします。
屋内の材木は全てヒノキ材が用いられ、オエと呼ばれる囲炉裏のある居間も板床ではなく畳敷きです。通称「六つデイ」と呼ばれている座敷は、八畳間が三室、六畳間が三室あり、これらをすべて解放すれば畳四十二枚敷きの大広間として使用することが可能となっています。こうした広い空間は、結婚式、葬式など冠婚葬祭やお祭りの時に使用されました。囲炉裏を囲みながらくつろいで、昔の家族団らんを体験してみてはいかがですか。またその広い座敷を利用して、特別展などのイベントを開くことがあります。そのおりにはぜひ覗いてみてください。