飛驒に生まれた茅葺き民家は「合掌造り」と「入母屋造り」に大きく別れます。
茅葺き(かやぶき)民家は飛驒地方でも豪雪地域にあたる北部、旧大野郡白川村・荘川村、旧吉城郡神岡町・宮川村・河合村などに多く見られました。なかでも白川・荘川の茅葺き民家は屋根が合掌した手の形に似ていることから「合掌造り」と呼ばれています。飛驒の里では、旧若山家・旧西岡家の「切妻合掌造り」の建物と旧吉真家に代表される「入母屋造り」の建物を公開しています。
茅葺き(かやぶき)民家は飛驒地方でも豪雪地域にあたる北部、旧大野郡白川村・荘川村、旧吉城郡神岡町・宮川村・河合村などに多く見られました。なかでも白川・荘川の茅葺き民家は屋根が合掌した手の形に似ていることから「合掌造り」と呼ばれています。飛驒の里では、旧若山家・旧西岡家の「切妻合掌造り」の建物と旧吉真家に代表される「入母屋造り」の建物を公開しています。
旧若山家は飛驒を代表する合掌造りです。そこで営まれた暮らしのお話は旧若山家のページにまかせるとして、ここでは「合掌構造」といわれる建築を解説するためのモデルにしてみましょう。
玄関のある正面図です。これは広い茅葺き屋根の面と玄関が同じ方向にある「切妻」と呼ばれる建築方式です。屋根の面は、やなか(右写真)と呼ぶ棒を長く横につなげたものと片面10本の梁(はり)で形作られています。また屋根全体を支えるために、斜めに4本(おおはがい各2本・むこうざす各2本)の梁があります。
上の図が建物の側面です。中は4階になっており窓があります。図だけでは分かりませんが、2階から上の床はすきまが空いて1階のイロリからでた煙が茅葺きの屋根から抜けるようになっています。この煙は茅や梁などの木材をいぶして害虫や腐りから守る効果があります。このため飛騨の里の各民家ではイロリの火を毎日欠かしません。
茅葺きの材料となるカヤはススキ、スゲ、チガヤなど屋根を葺くのに使う植物の総称です。飛騨ではオオガヤ(ススキ)、コガヤ(カリヤス)のことです。かつては川原などに自生していましたが、現在は少なくなり栽培しているものを使っています。茅葺きの耐久期間は40年から50年。しかし毎年の手入れは欠かすことができません。腐ったりしたところに茅をさして補強する「サシガヤ」をおこなっています。
もうひとつの茅葺きの民家は入母屋造りと呼ばれる構造をしています。飛驒の里には4棟の民家を公開しています。合掌造りとの外観の違いの一番は屋根の作りです。帽子をかぶったような形に見えるかもしれません。
合掌造りにくらべて屋根の傾斜がゆるやかで、少しカーブを描いています。これは中の構造と関係があり、2階の養蚕に使う作業場をできるだけ広く使うための工夫でした。建物を支えるために太くて頑丈な材を使っています。