昔の農山村の暮らしぶりを実感してください。生活の文化を“生きたまま”保存しています。
飛驒の里には「実演」という目玉があります。冬期は除く連日、あるいは特定日に実演されるさまざまな生業の再現は、飛驒の農山村の暮らしを身近なものに感じさせてくれます。
飛驒の里実演内容一覧
実演民具 |
実演場所と期間 |
わら細工 |
4月~10月、旧西岡家 |
飛驒刺し子 |
4月~10月、旧富田家 |
くれへぎ |
4月~10月の不定期、旧中藪家 |
江名子バンドリ |
不定期 |
小屋名ショウケ |
不定期 |
一位一刀彫 |
不定期、工芸集落 |
ヒノキの壁飾り |
4月~10月の日曜日、工芸集落 |
機織り |
開村記念日他、旧田口家 |
水鉄砲 |
夏休み期間、旧富田家 |
竹トンボ |
夏休み体験教室、旧道上家 |
菜洗い、漬け物漬け |
11月下旬、館内 |
しめ縄、しめ飾り |
12月下旬、旧道上家 |
花餅作り |
12月下旬、旧前田家 |
畑作 |
4月~11月、館内の畑 |
「わら細工作り実演・バンドリ作り実演」
冬の農閑期、わらを編んで作るさまざまな道具や履物は、農家の大事な収入源でした。
冬の農閑期に農家の生業として、稲を収穫した後に残るわらを乾燥させて、ワラジを編んでいました。ワラジとひと口にいっても種類はさまざまで、雪用の長靴や馬のワラジまでありました。旧西岡家では囲炉裏の前でわら細工の実演を行っています。またワラジのコレクションも展示しています。また不定期ですが、飛驒で生まれた蓑「江名子バンドリ」を作る実演もあります。この際のバンドリは冬のイベント「冬の生活体験」で着用することができます。
「飛驒刺し子実演」
布地の傷みを減らす効果のある刺し子。飛驒刺し子は模様の美しさで今も愛されています。
綿の布地は作業着など傷みやすい使われ方をしました。そのため布の強度を上げ、ほつれにくくする工夫が刺し子の始まりでした。一般には綿布を重ね合わせて、一面に細かく縫う、火消し袢纏などに見られる縫い方が普通です。いっぽう飛驒ではやがて模様を楽しむようになりました。藍染めをはじめ、さまざまな草木染めによる綿織物の色使いと刺し子の模様がもたらす、暖かみのある美しさが愛されています。旧富田家では、地元のお年寄りが飛驒刺し子を実演しています。縁側に座りのんびり世間話でもどうぞ。
「くれへぎ実演」
今では、榑(くれ)板を裂く技術を伝える人は少なくなりました。
丸太を割り、木の目にそって同じ厚みと長さのクレ材を作り出す一連の作業を「クレヘギ」と呼んでいます。木の目を読み、マンリキという道具でほぼ均等の厚さに一枚一枚さいでいくクレヘギは、長年の経験と技術が必要です。 昭和30年代以降火事に強いトタン葺きに取って代わられ、現在榑葺きの建物はまったくありません。そのため、各地にいたクレヘギ職人はほとんどいなくなりました。飛驒の里でクレヘギの実演している山口末造さんは数少ない職人の一人です。
「その他の実演」
- 小屋名ショウケ
- 大きなイロリのある部屋。床は板張りです。家族がイロリを囲んで食事をしたりする生活の中心となる部屋でした。
- 一位一刀彫
- 木目の美しい一位の木を彫る伝統工芸。工芸集落での製作が見学できる。(工芸集落・旧小林家)
- ヒノキの壁飾り
- ヒノキの丸太を裂いて作った薄い紐状の経木を編む。(工芸集落・旧紺谷家)
- 機織り
- 旧田口家に展示してある機織りを使い実演する。
- 水鉄砲・竹トンボ
- 竹を加工し、手作りの遊び道具を作る。
- しめ縄・しめ飾り
- お正月の準備。館内の鳥居や民家に取り付ける。
- 菜洗い・漬け物漬け
- 館内で収穫した赤カブや白菜を漬け物に。
- 花餅作り
- 木の枝に餅を付けて新年に飾る。
「畑作」
野菜や花を館内の畑で栽培しています。
飛驒の里では農山村の暮らしも再現しています。そのひとつが館内の畑での野菜作り。白菜、飛驒ねぎ、トマト、キュウリ、赤カブなど種類も豊富に育てています。収穫された野菜は夏のイベントで販売したり、漬け物にして入館者にサービスしています。初夏には菖蒲畑が花でいっぱいになります。夏休み前の落ち着いた時期に、訪れていただいた方々の目を楽しませてくれます。
暮らしの再現